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つくり手の想い・技術がこめられた
ジーンズ・Tシャツ・アクセサリー・手作り腕時計など…
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ブランド

graphzero(グラフゼロ)−倉敷・児島の新進デニムブランド!鈴木徹也さんほか、ジーンズの生地・染色・加工のプロたちが結集して手がける、オリジナルジーンズ、トップス
graphzero(グラフゼロ)
ジーンズ / トップス / etc.
レディース
禅(ZEN)−京でん代表・竜田昌雄さんがプロデュースする京都発和柄ブランド。連綿と継承されてきた京友禅や染色の匠の技を、手描きジーンズや手染めTシャツなど、ファッションを通じて発信
"禅" 京都発和柄ブランド
ジーンズ / トップス / etc.
YoriTo(ヨリート)−日本古来の伝統文化を過去から現代へ…日本伝統の染色技法や素材を生かした、新しい「和」のファッションブランド。京都発ブランド「禅」「達磨」を手がける京でんが展開
YoriTo(ヨリート)
ボトムス・トップス
「繭」−創業から100年以上の歴史のある京友禅の老舗・丸益西村屋さんが手がける、実際に使用されてきた伝統柄を生かした手染め和柄Tシャツ・草木染めジーンズ
京友禅 丸益西村屋「繭」
Tシャツ / 長袖 / ボトムス
京都の天然染め工房 手染メ屋・青木正明さんのオーガニックコットン天然染めTシャツ、天然染めジーンズ・ボトムス。天然染料の優しい色あいに癒されます!
手染メ屋 天然染め工房
半袖/ 長袖/ ボトムス/ etc.
銀工房AramaRoots(アラマルーツ)−京都・大山崎のシルバーアクセサリー作家・加藤心姿さんが手がけるブランド。手の込んだギミックを組み込んだアクセサリーや京都の和柄を生かしたアクセサリーを展開
銀工房AramaRoots
シルバーアクセ / 和柄ノ京銀
SEED 絵師・杉田扶実子−日本画の伝統や技術を確かに受け継ぎつつ、どこかに「遊び心」を加えた独自の作風の和柄手描きTシャツ・トップス
SEED 絵師・杉田扶実子
和柄手描きTシャツ/パーカー
saya1003−きものデザイナー・岩野沙綾香さんによる、やわらかな色調とタッチで描かれた、創作和柄の手描きTシャツ!
saya1003 岩野沙綾香
和柄手描きTシャツ
rolca on the notes(ロルカ オン ザ ノーツ)−倉敷・児島のナチュラル普段着ブランド!オーガニックコットンや上質のリネンなどナチュラル素材を使用したトップス・ワンピース・スカート・ボトムス
rolca on the notes
ワンピ /トップス /ボトムス
waltz for rolca
DEEP BLUE(ディープブルー)−倉敷・児島のレディースデニムブランド!穿くたびに、着るたびに身体になじみ、その人だけの色あいに変わっていく…日常に寄り添う服づくり
DEEP BLUE
ボトムス / トップス
備中倉敷工房−ジーンズの本場・倉敷ならではのインディゴ染めのほか、本藍染めや黒檀染めといった天然染め、刺子などの伝統的な生地など、「次なる伝統」を意識した技法・素材を生かした服づくり
備中倉敷工房
ボトムス・トップス
KS(ケーエス)−日本の手作り腕時計の先駆者、JHA・日本手作り腕時計協会代表 時計作家 篠原康治さんの手作り腕時計
"KS" JHA代表・篠原康治
手作り腕時計
渡辺工房−時計作家・渡辺正明さんが手がける、手作りならではの味わい深い表情、温かみがあふれた腕時計・懐中時計作品。素材には真鍮やシルバーを用いています
渡辺工房
渡辺正明・手作り腕時計
“GaTa”watch smith−時計作家・潟口真功さんが手がける、真鍮やシルバー、銅といった金属を手作業で加工し組み上げた、重厚感あふれる手作り腕時計
"GaTa"watch smith
潟口真功・手作り腕時計
東京・高円寺にて中野貴臣さんが手がける手作り腕時計ブランド“cota”(コタ)。アクセサリー制作の技術を応用して、真鍮やシルバーなどの素材でほとんどのパーツを手作りで制作した手作り腕時計・手作り懐中時計
cota(コタ)
中野貴臣・手作り腕時計
joie infinie design(ジョイ アンフィニィ デザイン)−“終わらない喜びを創り出す”…そんな想いを込めて制作された、大護慎太郎さんによる手作り腕時計
joie infinie design
大護慎太郎・手作り腕時計
Mari Goto(マリゴトー)−「かっこいい」と「かわいい」の共存がコンセプトの、時計作家・後藤麻理さんによる手作り腕時計
Mari Goto(マリゴトー)
後藤麻理・手作り腕時計
Gothic Laboratory(ゴシックラボラトリー)−デザイナー・柳井幸平さんと時計作家・後藤麻理さんによる“remaining time〜残された時間〜”がコンセプトの手作り時計ブランド
Gothic Laboratory
手作り腕時計
ARKRAFT(アークラフト)−時計作家・新木秀和さんが手がける、腕時計の伝統的・普遍的デザインを踏襲しつつ、手作りならではの味わいや温かみを融合させることを常に意識して制作された手作り時計ブランド
ARKRAFT(アークラフト)
新木秀和・手作り腕時計
ipsilon(イプシロン)−「一瞬の感覚を大切にし、その瞬間の感性で形にする」−時計作家・ヤマダヨウコさんによる手作り時計ブランド
ipsilon(イプシロン)
ヤマダヨウコ・手作り腕時計
vie(ヴィー)−滋賀のアクセサリー工房が新たなオリジナルブランドとして立ち上げた、カジュアルでお手頃価格が魅力の手作り腕時計
vie(ヴィー)
手作り腕時計
poussette(プセット)−がまぐち作家・小川大介さんが希少な輸入生地やデッドストック生地を独自の感性でセレクトして制作した、がまぐち・がまぐちバッグ
poussette(プセット)
がまぐち / がまぐちバッグ
革工房PARLEY(パーリィー)−厳選された上質な革素材と、その素材感を生かす職人の技術で、シンプルでありながら存在感のある革製品を制作
革工房PARLEY(パーリィー)
レザー製財布・バッグ・小物
達磨(だるま)−本印傳や本藍染め・柿渋染めを施したレザーなど、「和」の伝統と文化を織り交ぜた素材を用いて、ウォレットや革小物を中心に展開
達磨(だるま)
革財布・和小物
『お客様の誇りになる物創り』をコンセプトに日本製にこだわりながら、革小物を中心に展開するブランド”COTOCUL”(コトカル)。
COTOCUL(コトカル)
革財布・革小物
garage(ガラージ)−ダブルガーゼシャツをメインに、デザイン・パターン・縫製・染色など、服づくりの工程ほぼ全てを自ら手がけるガーゼ服工房
garage(ガラージ)
ふわふわ手作りガーゼ服
biancabianca(ビアンカビアンカ)− キャンドル作家・秋澤真衣子さんの手作りキャンドル。空や海、惑星などがモチーフのインテリアにもぴったりなキャンドルを制作されています。
biancabianca 秋澤真衣子
手作りキャンドル
nuri candle(ヌリ キャンドル)− キャンドル作家・福間乃梨子さんの手作りキャンドル。幻想的な絵本のような世界観のキャンドルを制作されています
nuri candle 福間乃梨子
手作りキャンドル
オリジナルの手すき和紙を主素材に、厳選された素材の魅力を十分に活かした、シンプルながらも表情豊かな、田畑教次さん作の和紙照明。
あかりデザイン工房
田畑教次さんの和紙照明
ORGANIC GARDEN(オーガニックガーデン)−オーガニックコットン(有機栽培綿)を使用し、脚を優しく包んでくれる靴下たち…「靴下の街」奈良県広陵町生まれのブランド
ORGANIC GARDEN
オーガニックコットンの靴下
IMPROVE MYSELF(インプルーブ マイセルフ)−東京・北千住にて、シブヤ製靴の桑原孝昌さんがデザインする、革靴・レザーシューズ・レザーブーツの町工場ブランド。
IMPROVE MYSELF
革靴・レザーブーツ
Dady(ダディ)−革製品の集積地である東京・元浅草にて、レザーベルトやウォレットを中心に手がける三竹産業さんの町工場ブランド。
Dady(ダディ)
レザーベルト・ウォレット
ANNAK(アナック)−オリジナルの洗い加工、手縫い、手磨きなどの丁寧なハンドワークで仕上げたレザーウォレット、レザーベルトなどを展開する、東京・元浅草の三竹産業さんの町工場ブランド。
ANNAK(アナック)
レザーウォレット・ベルト
sasakihitomi アクセサリー作家・佐々木ひとみ−生き生きとした動物・自然をモチーフにした、女性らしくノスタルジックな雰囲気の手作りアクセサリー・ピアス・ネックレス・リング
sasakihitomi 佐々木ひとみ
手作りアクセサリー
“sasakihitomi”佐々木ひとみさんと加藤由将さんの2人のアクセサリー作家による
ヘアアクセサリーブランド「二月」(ふたつき)
二月(ふたつき)
手作りヘアアクセサリー
エス 三浦砂織−透かし彫りなどの技法によって桜や蓮を表現した、優雅で繊細な和柄手作りアクセサリー・ネックレス・ピアス・リング・指輪
エス 三浦砂織
和柄手作りアクセサリー
haru nomura 草木染め作家・野村春花−茜や藍、柘榴、ログウッドなどの天然染料で染めたバッグ、ウッドビーズのアクセサリー・ネックレス・ブレスレット・ピアス・イヤリング
haru nomura 野村春花
草木染めバッグ・アクセ
moge(モゲ)山口光司−コンセプトは“身に着けるだけで優しい気持ちになれる、心につけるジュエリー”。月や星々、ネコやカエル、ラクダ、ゾウ、キリンといった動物たちがモチーフの手作りアクセサリー・ネックレス・リング・指輪
moge 山口光司
手作りアクセサリー
DECOvienya(デコヴィーニャ) 手作りアクセサリー ― 動物たちが日々直面している現実を、リアルにかわいく、時にはブラックなユーモアを交えて形にしたアクセサリーブランド
DECOvienya
手作りアクセサリー
OHFOREST(オーフォレスト) アクセサリー作家・ユージ大森 ― 木々のシルエットや森に住む動物や虫たちなど、自然のフォルムから感じる優しい形を表現したアクセサリー・ネックレス・ペンダント・リング・指輪
OHFOREST ユージ大森
手作りアクセサリー
Ventriloquist(ヴェントリロクィスト) ― 根本貴史さん・伊藤里恵子さんのデザインユニットが手がける、レザーや藍染めニットのがまぐちバッグ、レディースウェア
Ventriloquist
がまぐちバッグ
工房織座 ― 愛媛県今治市にて、昔ながらの織り機を改良し、独自の織りを追求して制作された、ストール・マフラー・キャップ・帽子
kobooriza−工房織座−
ストール・マフラー・帽子
MOUNTAIN DA CHERRY(マウンテン ダ チェリー) ― 岡山県倉敷産の帆布を使用したトートバッグ・かばん・巾着
MOUNTAIN DA CHERRY
倉敷帆布のトートバッグ
ウールのバッグ フェルトのバッグ ニット編みのバッグ
POUR LA PAIX
ウール素材のバッグ
PEARL FISHER(パールフィッシャー)−バッグ作家・西周さつきさんが手がける帆布とレザーのトートバッグ・ショルダーバッグ・ボストンバッグ
PEARL FISHER
帆布とレザーの手作りバッグ
Lano(ラノ)−アクセサリー作家の平野朋晃さん・平野未央さんが手がける、真鍮と天然石の手作りアクセサリー・ピアス・ネックレス・リング・ブレスレット・手作り腕時計
Lano(ラノ)
真鍮と天然石のアクセサリー
marship(マーシップ) ―アクセサリー作家・沼尻慧(ぬまじり・さとい)さんが手がける、「秘密の森」に住む動物・植物たちをモチーフにした手作りアクセサリー・ネックレス・リング・指輪
marship(マーシップ)
動物・植物のアクセサリー
ブロンズ造形作家・コイズミタダシさんが手がける、コビトのブロンズオブジェ・ブックマーク・ネックレス・リング
造形作家・コイズミタダシ
コビトのオブジェ・アクセ
アクセサリー作家・磯 俊宏さんが手がける、雑貨やファッション小物をミニチュアにしたようなネックレス・リング・ピアス
small right
ミニチュア小物アクセ
おりがみトート−日本一の帆布の産地・倉敷の帆布職人さん、デニム職人さんたちのご協力を得て、生地から特注して制作していただいた、当店オリジナルのトートバッグ
おりがみトート
舟形トート / リベットトート
pure blue japan(ピュアブルージャパン)−国産ジーンズの本場である倉敷・児島にて、ジーンズをメインに展開するブランド。染色手法や素材、織りを工夫し、様々な「ブルー」を表現!
pure blue japan
ジーンズ / トップス
MIZRA(ミズラ)−拠点とする京都の伝統、文化を肌で感じながら、高度な生地加工や染色、グラフィックによる表現を駆使し、素材に独自の表情を加えたリアルクローズ
MIZRA(ミズラ)
ボトムス / トップス / etc.
京都発デニムブランド mizra(ミズラ)−「和的洋装」をコンセプトに、日本伝統の染色・伝統工芸の技術と、独自の生地加工技術を融合させたジーンズやトップスなどを手がける京都発ブランド
mizra(ミズラ)
ジーンズ / トップス
mellow out(メロウアウト)− グラフィックデザイナー・籾山佳範さんが手がけるオリジナルブランド。ポップでクールなデザインの中に、さりげなく心にひびくメッセージもちりばめたTシャツ
mellow out
デザインTシャツ
絵師・冬奇(ふゆき)−京都を拠点に活動する京友禅絵師にしてアーティスト。日本画や京都の伝統技術と独自の感性を融合させた作品も制作されています。
絵師・冬奇
絵画作品

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作り手インタビュー 〜創作の現場から〜 一覧
poussette(プセット) がまぐち作家・小川大介さんのがまぐち 一覧


作り手インタビュー 〜創作の現場から〜
poussette(プセット) がまぐち作家・小川大介さん

「自分にしかできないことで、人の穏やかな暮らしに役立ちたい。」


poussette(プセット)・小川大介さん

poussette(プセット)の小川大介さんが手がけるのは、日本の伝統が息づく美しいフォルムと使いやすさに、独自の感性をプラスした「がまぐち」たち。

その卓越したセンスとフランクなお人柄ゆえか、これまで受けた取材はテレビ番組中心になんと100件以上。いまや京都で一番有名ながまぐち作家さんといえるでしょう。

今回は、この3月に移転オープンし、活動の拠点とされている京都・一乗寺のアトリエ兼ショップを訪ねました。

多彩ながまぐちの中で存在感を放つ愛用のシンガーミシン、そして新たな命を吹き込まれるのを待つたくさんの生地たちに囲まれ、 作品作りを進めていただきながらのインタビューは、その手際のよさについ見惚れてしまいがちに。

気負わず自然体でいながらも、あくまでスマートなスタイルにも、小川さんの美学が貫かれている気がします。



ショップでは、お客さまに生地を選んでもらい、目の前でがまぐち作りを実践することも。


「いわゆる割烹スタイルです(笑)。もの作りとはどういうことか、これだけの手間をかけ、思いをこめて作られていることを知ってもらえれば使うものへの愛着も関心も深まると思うんです」。

ミシンは職人にとって身体の一部と語る小川さん。最初は工業用ミシンを使っていましたが、「よそよそしい」感じがぬぐえず、アナログミシンを使おうと決意。
「知り合いのアンティークショップを訪ねた時、まさにトラックから降ろされた瞬間に出会ったのがこのミシン。1925年のスコットランド製です。2週間かけてオーバーホールし、今では完璧な相棒」。

「そのあと、縁あって手にした同じタイプのシンガーミシンも、製造番号を見て同じ年に同じ工場でつくられたことがわかりました。91歳の現役姉妹です(笑)」。
現在は2台の同じミシンでがまぐちを制作されています。

コンクリート打ちっ放しの外観もモダンなアトリエ兼ショップ。一乗寺は京都カルチャーの発信地としても知られます。

「ひいおばあちゃん」のがまぐちが連れてきた縁?


─ご出身は栃木県。プロフィールを拝見すると、がまぐちの創作活動に至るまでかなりの紆余曲折があったとお見受けします。

ありましたね(笑)。大学は外国語系と法律系、ふたつ行って両方中退してるし(笑)。

進学を考えた高校生の時から実はかなり迷っていたんです。小さな頃から言葉にとても興味を持っていて物事を論理的に考えることが好きだったので、言葉を使う仕事で人の役に立つことはできないかというのが選択肢のひとつでした。

そんな中で「この先生のゼミに入りたい!」と強く思っためちゃくちゃ面白い言語学の教授がいらっしゃる大学を選んだのですが…僕が入学したとたん、まさかの定年退官で教授のゼミに入れないことがわかり(笑)。

京都の大学に行きたいと思っていた初心に戻り、受験からやり直しました。


─京都にはどうして興味を?

中学生の時、初めて古典にふれて衝撃を受けたんです。

『枕草子』にしろ『徒然草』にしろ、それまで栃木の山奥で育ってきた僕の日常にはない世界が繰り広げられているのに驚いて。

これが日本のもともとの世界観なんだとわかったときに、日本という国を知るには古典の世界に飛び込む、つまり京都に行くしかないとずっと思っていました。


─それで、念願かなって京都の大学へ。

京都では法学部と芸術系の大学を受験し、両方合格をいただいて、また悩みました。

法律に関しては、叔父が検事で法律が身近だったこと、法律という理論整然とした言葉を使って人の役に立てる仕事に魅力を感じたから。

一方では芸術も好きだったので、言葉と絵で法律のいらないようなあたたかい世界がつくれたらいいなという思いから、絵本を一冊、描けるようになるために芸術系の大学も考えたのです。

最終的には“お小遣い”の事情もあって(笑)法学部に進みました。


─ところがそこでまた転機が訪れるわけですね。

京都に来られたことはとても幸せでした。

でも大学での刑法の授業が辛かった。過去の犯罪と量刑をひたすら見ていくのですが、甲乙丙がいつも何かやらかしていて毎日が火曜サスペンス劇場なんです(笑)。

もうウンザリしてしまって、そんなドロドロした世界よりも、そういう気持ちにならないような生活を手伝う仕事のほうが自分には向いていると思うようになりました。

芸術大学はあきらめたものの独学でグラフィックデザインを続けていたので、その作品を持って面接に行き採用されたのが、がまぐちを製造販売している会社のWEBデザイナーです。


─がまぐちとの出会いがここに。

その前に少し運命的なことがありました。ちょうど法律とは別の道に進むべきか悩んでいた時に、曽祖母が亡くなりまして。

お弔いの時に、棺に入れようと祖母が出してきたのが、曽祖母が愛用していたがまぐちでした。

僕はどうしても棺に入れることができなくて、形見として持ち帰ったんです。がまぐちの会社にご縁をいただいた時に、あらためてそのがまぐちを眺めて考えました。

今学んでいる法律の世界では連日犯罪が起こっているけど、ひいおばあちゃんがこのがまぐちを持って人殺しにいこうとはしないよな、と(笑)。

むしろ家族のために明日は何をつくろう、何をしてあげようと思いながら平和に過ごす日常の中にあるもの。がまぐちを作るということは、そんなおだやかな生活に寄り添うものを作ることじゃないかと思いました。

そこで「がまぐちっていいかも」という気持ちになれたんです。曽祖母がそんなご縁をくれたのかなと、今になって思いますね。


小川さんが今も大切に持ち続ける御曽祖母さんの形見のがまぐち。「しっかりしたつくりで、よく使い込まれていい味を出してます」

小川さんが作り出す多彩ながまぐちたち。生地の買い付け、パターン製作から縫製まですべて一人で手がけています。

金具を付ける前の段階まで仕上がったがまぐち。

がまぐちの表地と裏地はそれぞれ異なっており、その組み合わせもまた小川さんの感性の見せどころです。

使用する生地は、希少な輸入ものやデッドストックものを始め、産地も素材もテイストもバリエーション豊か。

自身の今後を占った手作り市への挑戦


─そこでがまぐち作りのノウハウを学ばれたんですね。

WEBデザイナーとして入社したものの、小さな会社だったので、手が空くとミシンを踏むし、新商品の企画会議にも出させてもらったりもしました。

それなりに楽しかったのですが、僕が出すアイデアはコスト面などの制約ですべてボツ。

少しずつフラストレーションが溜まったのもあり、ほどなく退社して、自分が本当に作りたいものは何か、物作りの原点を見直そうと良品計画に入りました。

ところが入社後2年で店舗が入っていたショッピング施設自体が閉館することになり、退職。そこで独立して何かを始める選択肢として、がまぐち作りを考えたんです。

曽祖母のことで縁を感じていたこともあるし、以前の職場で作りたいものが作れなかった経緯もあるし、これはきっかけをもらえたととらえて、一度自分で条件を設けてやってみようと。

“お小遣い”をいくらと決めた中で材料を揃えてがまぐちを作り、手作り市に出店してみることにしました。それで、売り上げが最初に用意したお小遣いを下回ったら、がまぐち作りは僕の役割ではなかったんだと思うことにしようと。


─ちょうど京都で手作り市なるものが注目され出した頃ですね。

知恩寺さんの手作り市が有名になり始めていました。でも僕は、京都の妙蓮寺さんで開催されている手作り市でのデビューを決めました。

知名度も出店者も来客数も俄然少なかったんですが、出店料が知恩寺より300円安かったから(笑)。

とにかく作れるだけのがまぐちを作って出店しました。そしたら、なんと完売したんです。

で、次はもう少したくさん作って出店し、また売れてお小遣いが増えて、もう少し好きな生地や材料を使って作ることができるようになって、また売れて…その繰り返しで、今に至ります。

来年でがま口を作り始めてちょうど10年になります。



作り手と使う人が直接コミュニケーションできる手作り市。魅力ある作り手は、ここからどんどん羽ばたいていきます。こちらの画像は、2008年5月の「上賀茂神社手作り市」の様子(画像左が小川さん)。京都市内の神社・寺院で開催されている手作り市を通じて、小川さんも現在の活躍に至るさまざまな出会いに恵まれました。

─いま、めちゃくちゃはしょりましたね(笑)。その10年の間に何があったかもお伺いしたいのですが。

いや、ほんとに、ありがたい出会いの繰り返しに尽きるんです。

最初の場所を妙蓮寺さんにしたことも、今思えば僕自身の道を開く大きなきっかけになったと思っています。

クラフトカフェの田畑さんとも出会えました。その後、知恩寺や上賀茂神社にも出店するようになり、知恩寺で出会った人の紹介で「あじき路地」の大家さんにお会いして、「部屋が空いたらおいで」と言っていただけました。

あじき路地で職住一致の暮らしを始めたことで取材を受けることも多くなって、知ってくださる方が増えたと思います。


─ 一時期、尾道に拠点を移されたこともありますよね。

尾道を一人で旅した時に、出会った人と話をするうち、京都は町家を好んで使うお店や作家がいて、人が集まるからいいねと言われたんです。

尾道は古民家があるけど朽ちていくばかり。町歩きを楽しんでくれる人は多いけど、住んだり使ったりしてくれる人がいない…と。

本当に素敵な場所だったのでなんとかお役に立ちたいと思ったんですよね。

幸い僕の仕事はミシンと生地さえあればできるから、それなら僕がまず移住することで何かができるかもと、家を一軒買って暮らし始めたのです。

ところが1年半ほどでその家が僕のお小遣いでは修復できない状況になってしまって、暮らすことはあきらめました。

でも、今も家はそのままで、作品展などに提供したり、イベントに参加したりと、尾道との交流は続けています。



小川さんのもうひとつの拠点、尾道のアトリエ。2016年夏の豪雨災害のため居住は難しくなったそうですが、現在は尾道のものづくり作家さんの作品展などの場としても活用されています(画像は小川さん提供)。

あたたかな気持ちを共有したい


─まさに人とのつながりのなかで、ご活動が広がっているのですね。

今は仕事とか趣味とかの区別なく、いろんな人に会ったり、訪ねたりすることが楽しいですね。

僕のクリエーター名である「poussette」は、フランス語で「ベビーカー」という意味です。

自分自身を表現できる名前を考えた時に、昔からクルマがむちゃくちゃ好きだったので、人が最初に乗るクルマ、ベビーカーを思いついたのです。

クルマがあるからこそ行ける場所、体験できる世界があるけれど、ベビーカーは一人では動けない。押してくれる人とのあたたかいつながりがあって初めていろんな世界へ連れて行ってもらえる。

そんなふうに、人と一緒に新しい世界をのぞけるのが素敵だなと思って、この言葉を選びました。

実はがまぐちに出会う前、学生時代に創作活動を始める時につけた名前で、最初に手がけたのは音楽だったんですよ。



─創作活動を通じて、小川さんご自身は人とどんなことを共有したいとお考えですか。

僕は自分が何のために生きているのか、誰のために生きているのかを至上命題にしているんです。

と言うと堅苦しく聞こえてしまいますが、1日の終わり、お風呂のときや寝る前に「今日」を振り返る瞬間、誰と会えたか、誰のためにがま口を仕立てられたか、誰かの役に立てたかどうかを自問してみるんです。

Yesと言えれば、明日起きなくてもいいくらいの充実した気持ちになれる。毎日がその繰り返しです。

ときには辛いこと、しんどいこともあるけど、日々納得して生きていきたいと強く思っています。

今日をもう一度生きることはできないので、後悔しない生き方をしたいんですね。そして、人にも同じように人生を毎日を納得して生きていってほしい。

そういうことが自分の作るものを通じて伝えられるようになればいいなと思っています。



─今後、作ってみたいがまぐちはありますか。

今って、財布や証明書、免許書、情報媒体など財産を身につけて動くのをみんなあたり前にしているでしょう。それをひとまとめにして安心して持ち歩けるものを作りたいですね。

僕のもの作りの根底には「余計なものを背負わない生活」という考えもあって、極力少ない荷物を楽しく持ち歩いてもらいたいなと思っています。

だから、それを身につけるだけで、最低限必要なものが揃い、忘れ物がない、不安感がない…そういうものをうまく作りたいんですよね。

「かばん」とか「財布」とかいう分類を離れた、入れ物であるけど入れ物っぽくない、財布にしても財布っぽくない、でも自分にとって必要ですというアイテムができたらいいなと。



新たに挑戦中の革を使用したがまぐち。こちらは経年変化が楽しめるヌメ革です。

こちらは、姫路産の牛革で制作した2点セットのがまぐち財布。今後のさらなる展開が楽しみです。

─それは面白いですね。最後に、小川さんがもの作りの上で大切にされていることは何ですか。

初めて手作り市に出た時から、僕はどれだけ売り上げがたくさんあるよりも、何年も使ってくださるなと思えるお客さんと出会えた1日のほうが嬉しかった。

結局僕にとって仕事は、お金になったかどうかではなくて人の役に立てて、しかもそれが僕にしかできない仕事であるかどうかが大事なんです。

今はがまぐちという生活に身近なツールを通して、毎日楽しく悔いなく暮らしてほしいという思いを発信しているつもりですが、もの作りに答えはありません。

僕自身、いつも懐疑的で答えを探し続けています。お客さんからご要望をいただける限りは、伝え続けられる何かがあるのではないかと思っていますが、時代も求められるものもどんどん変わっていく中で、何か新しいものを提案できないかという宿題は、常に自分自身に課しています。そのためには、さぼらずやっていくことですよね。


─小川さんの思いがより多くの人に伝わりますように。本日はありがとうございました。


この10月、poussette(プセット)の名前でクリエイティブ活動を始めて15周年という記念すべき節目を迎えた小川さん。

どんなに有名になっても、ひとつひとつの縁を大切にする誠実さ、人の役に立ちたいという強い思いのもとでひたむきに創作を続ける姿勢が印象的でした。

ぜひその作品にふれ、こめられたメッセージを感じていただきたいと思います。

(取材日:2016年9月16日/文:ライター・森本朕世)

poussette(プセット) がまぐち作家・小川大介さん プロフィール

がまぐち作家・小川大介さん 1978年栃木県生まれ。大学にて言語学、刑法を学んだ後、雑貨販売会社などで仕事をしつつ、デザイン関係の仕事も独自で手がける。京都には2000年より在住。

パソコンによるデザインは、小学校時代から独学ではじめる。2001年、poussette(プセット)としてグラフィック、ウェブ、プロダクト関連のデザインを手がけると同時に、クリエイターユニット「atelier+」(アトリエプリュス)を主宰(2004年活動休止)。

2007年からは、和雑貨制作会社で身につけたノウハウを活かし、がまぐちの制作を本格的にはじめる。2016年に京都・一乗寺にアトリエを移転。布生地だけでなく革を使用したがまぐちなども手がける。

poussette(プセット) アイテム一覧


リップクリームやヘアゴム、アクセサリーなどの
小物を入れるのに、ちょうどいいサイズです。

お財布や携帯、コンパクトデジカメを入れたりと
必要なものはキチンと入る大きさです。


作り手インタビュー poussette 小川大介さん(このページのトップへ)
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