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つくり手の想い・技術がこめられた
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ブランド

graphzero(グラフゼロ)−倉敷・児島の新進デニムブランド!鈴木徹也さんほか、ジーンズの生地・染色・加工のプロたちが結集して手がける、オリジナルジーンズ、トップス
graphzero(グラフゼロ)
ジーンズ / トップス / etc.
レディース
禅(ZEN)−京でん代表・竜田昌雄さんがプロデュースする京都発和柄ブランド。連綿と継承されてきた京友禅や染色の匠の技を、手描きジーンズや手染めTシャツなど、ファッションを通じて発信
"禅" 京都発和柄ブランド
ジーンズ / トップス / etc.
YoriTo(ヨリート)−日本古来の伝統文化を過去から現代へ…日本伝統の染色技法や素材を生かした、新しい「和」のファッションブランド。京都発ブランド「禅」「達磨」を手がける京でんが展開
YoriTo(ヨリート)
ボトムス・トップス
「繭」−創業から100年以上の歴史のある京友禅の老舗・丸益西村屋さんが手がける、実際に使用されてきた伝統柄を生かした手染め和柄Tシャツ・草木染めジーンズ
京友禅 丸益西村屋「繭」
Tシャツ / 長袖 / ボトムス
京都の天然染め工房 手染メ屋・青木正明さんのオーガニックコットン天然染めTシャツ、天然染めジーンズ・ボトムス。天然染料の優しい色あいに癒されます!
手染メ屋 天然染め工房
半袖/ 長袖/ ボトムス/ etc.
銀工房AramaRoots(アラマルーツ)−京都・大山崎のシルバーアクセサリー作家・加藤心姿さんが手がけるブランド。手の込んだギミックを組み込んだアクセサリーや京都の和柄を生かしたアクセサリーを展開
銀工房AramaRoots
シルバーアクセ / 和柄ノ京銀
SEED 絵師・杉田扶実子−日本画の伝統や技術を確かに受け継ぎつつ、どこかに「遊び心」を加えた独自の作風の和柄手描きTシャツ・トップス
SEED 絵師・杉田扶実子
和柄手描きTシャツ/パーカー
saya1003−きものデザイナー・岩野沙綾香さんによる、やわらかな色調とタッチで描かれた、創作和柄の手描きTシャツ!
saya1003 岩野沙綾香
和柄手描きTシャツ
rolca on the notes(ロルカ オン ザ ノーツ)−倉敷・児島のナチュラル普段着ブランド!オーガニックコットンや上質のリネンなどナチュラル素材を使用したトップス・ワンピース・スカート・ボトムス
rolca on the notes
ワンピ /トップス /ボトムス
waltz for rolca
DEEP BLUE(ディープブルー)−倉敷・児島のレディースデニムブランド!穿くたびに、着るたびに身体になじみ、その人だけの色あいに変わっていく…日常に寄り添う服づくり
DEEP BLUE
ボトムス / トップス
備中倉敷工房−ジーンズの本場・倉敷ならではのインディゴ染めのほか、本藍染めや黒檀染めといった天然染め、刺子などの伝統的な生地など、「次なる伝統」を意識した技法・素材を生かした服づくり
備中倉敷工房
ボトムス・トップス
KS(ケーエス)−日本の手作り腕時計の先駆者、JHA・日本手作り腕時計協会代表 時計作家 篠原康治さんの手作り腕時計
"KS" JHA代表・篠原康治
手作り腕時計
渡辺工房−時計作家・渡辺正明さんが手がける、手作りならではの味わい深い表情、温かみがあふれた腕時計・懐中時計作品。素材には真鍮やシルバーを用いています
渡辺工房
渡辺正明・手作り腕時計
“GaTa”watch smith−時計作家・潟口真功さんが手がける、真鍮やシルバー、銅といった金属を手作業で加工し組み上げた、重厚感あふれる手作り腕時計
"GaTa"watch smith
潟口真功・手作り腕時計
東京・高円寺にて中野貴臣さんが手がける手作り腕時計ブランド“cota”(コタ)。アクセサリー制作の技術を応用して、真鍮やシルバーなどの素材でほとんどのパーツを手作りで制作した手作り腕時計・手作り懐中時計
cota(コタ)
中野貴臣・手作り腕時計
joie infinie design(ジョイ アンフィニィ デザイン)−“終わらない喜びを創り出す”…そんな想いを込めて制作された、大護慎太郎さんによる手作り腕時計
joie infinie design
大護慎太郎・手作り腕時計
Mari Goto(マリゴトー)−「かっこいい」と「かわいい」の共存がコンセプトの、時計作家・後藤麻理さんによる手作り腕時計
Mari Goto(マリゴトー)
後藤麻理・手作り腕時計
Gothic Laboratory(ゴシックラボラトリー)−デザイナー・柳井幸平さんと時計作家・後藤麻理さんによる“remaining time〜残された時間〜”がコンセプトの手作り時計ブランド
Gothic Laboratory
手作り腕時計
ARKRAFT(アークラフト)−時計作家・新木秀和さんが手がける、腕時計の伝統的・普遍的デザインを踏襲しつつ、手作りならではの味わいや温かみを融合させることを常に意識して制作された手作り時計ブランド
ARKRAFT(アークラフト)
新木秀和・手作り腕時計
ipsilon(イプシロン)−「一瞬の感覚を大切にし、その瞬間の感性で形にする」−時計作家・ヤマダヨウコさんによる手作り時計ブランド
ipsilon(イプシロン)
ヤマダヨウコ・手作り腕時計
vie(ヴィー)−滋賀のアクセサリー工房が新たなオリジナルブランドとして立ち上げた、カジュアルでお手頃価格が魅力の手作り腕時計
vie(ヴィー)
手作り腕時計
poussette(プセット)−がまぐち作家・小川大介さんが希少な輸入生地やデッドストック生地を独自の感性でセレクトして制作した、がまぐち・がまぐちバッグ
poussette(プセット)
がまぐち / がまぐちバッグ
革工房PARLEY(パーリィー)−厳選された上質な革素材と、その素材感を生かす職人の技術で、シンプルでありながら存在感のある革製品を制作
革工房PARLEY(パーリィー)
レザー製財布・バッグ・小物
達磨(だるま)−本印傳や本藍染め・柿渋染めを施したレザーなど、「和」の伝統と文化を織り交ぜた素材を用いて、ウォレットや革小物を中心に展開
達磨(だるま)
革財布・和小物
『お客様の誇りになる物創り』をコンセプトに日本製にこだわりながら、革小物を中心に展開するブランド”COTOCUL”(コトカル)。
COTOCUL(コトカル)
革財布・革小物
garage(ガラージ)−ダブルガーゼシャツをメインに、デザイン・パターン・縫製・染色など、服づくりの工程ほぼ全てを自ら手がけるガーゼ服工房
garage(ガラージ)
ふわふわ手作りガーゼ服
biancabianca(ビアンカビアンカ)− キャンドル作家・秋澤真衣子さんの手作りキャンドル。空や海、惑星などがモチーフのインテリアにもぴったりなキャンドルを制作されています。
biancabianca 秋澤真衣子
手作りキャンドル
nuri candle(ヌリ キャンドル)− キャンドル作家・福間乃梨子さんの手作りキャンドル。幻想的な絵本のような世界観のキャンドルを制作されています
nuri candle 福間乃梨子
手作りキャンドル
オリジナルの手すき和紙を主素材に、厳選された素材の魅力を十分に活かした、シンプルながらも表情豊かな、田畑教次さん作の和紙照明。
あかりデザイン工房
田畑教次さんの和紙照明
ORGANIC GARDEN(オーガニックガーデン)−オーガニックコットン(有機栽培綿)を使用し、脚を優しく包んでくれる靴下たち…「靴下の街」奈良県広陵町生まれのブランド
ORGANIC GARDEN
オーガニックコットンの靴下
IMPROVE MYSELF(インプルーブ マイセルフ)−東京・北千住にて、シブヤ製靴の桑原孝昌さんがデザインする、革靴・レザーシューズ・レザーブーツの町工場ブランド。
IMPROVE MYSELF
革靴・レザーブーツ
Dady(ダディ)−革製品の集積地である東京・元浅草にて、レザーベルトやウォレットを中心に手がける三竹産業さんの町工場ブランド。
Dady(ダディ)
レザーベルト・ウォレット
ANNAK(アナック)−オリジナルの洗い加工、手縫い、手磨きなどの丁寧なハンドワークで仕上げたレザーウォレット、レザーベルトなどを展開する、東京・元浅草の三竹産業さんの町工場ブランド。
ANNAK(アナック)
レザーウォレット・ベルト
sasakihitomi アクセサリー作家・佐々木ひとみ−生き生きとした動物・自然をモチーフにした、女性らしくノスタルジックな雰囲気の手作りアクセサリー・ピアス・ネックレス・リング
sasakihitomi 佐々木ひとみ
手作りアクセサリー
“sasakihitomi”佐々木ひとみさんと加藤由将さんの2人のアクセサリー作家による
ヘアアクセサリーブランド「二月」(ふたつき)
二月(ふたつき)
手作りヘアアクセサリー
エス 三浦砂織−透かし彫りなどの技法によって桜や蓮を表現した、優雅で繊細な和柄手作りアクセサリー・ネックレス・ピアス・リング・指輪
エス 三浦砂織
和柄手作りアクセサリー
haru nomura 草木染め作家・野村春花−茜や藍、柘榴、ログウッドなどの天然染料で染めたバッグ、ウッドビーズのアクセサリー・ネックレス・ブレスレット・ピアス・イヤリング
haru nomura 野村春花
草木染めバッグ・アクセ
moge(モゲ)山口光司−コンセプトは“身に着けるだけで優しい気持ちになれる、心につけるジュエリー”。月や星々、ネコやカエル、ラクダ、ゾウ、キリンといった動物たちがモチーフの手作りアクセサリー・ネックレス・リング・指輪
moge 山口光司
手作りアクセサリー
DECOvienya(デコヴィーニャ) 手作りアクセサリー ― 動物たちが日々直面している現実を、リアルにかわいく、時にはブラックなユーモアを交えて形にしたアクセサリーブランド
DECOvienya
手作りアクセサリー
OHFOREST(オーフォレスト) アクセサリー作家・ユージ大森 ― 木々のシルエットや森に住む動物や虫たちなど、自然のフォルムから感じる優しい形を表現したアクセサリー・ネックレス・ペンダント・リング・指輪
OHFOREST ユージ大森
手作りアクセサリー
Ventriloquist(ヴェントリロクィスト) ― 根本貴史さん・伊藤里恵子さんのデザインユニットが手がける、レザーや藍染めニットのがまぐちバッグ、レディースウェア
Ventriloquist
がまぐちバッグ
工房織座 ― 愛媛県今治市にて、昔ながらの織り機を改良し、独自の織りを追求して制作された、ストール・マフラー・キャップ・帽子
kobooriza−工房織座−
ストール・マフラー・帽子
MOUNTAIN DA CHERRY(マウンテン ダ チェリー) ― 岡山県倉敷産の帆布を使用したトートバッグ・かばん・巾着
MOUNTAIN DA CHERRY
倉敷帆布のトートバッグ
ウールのバッグ フェルトのバッグ ニット編みのバッグ
POUR LA PAIX
ウール素材のバッグ
PEARL FISHER(パールフィッシャー)−バッグ作家・西周さつきさんが手がける帆布とレザーのトートバッグ・ショルダーバッグ・ボストンバッグ
PEARL FISHER
帆布とレザーの手作りバッグ
Lano(ラノ)−アクセサリー作家の平野朋晃さん・平野未央さんが手がける、真鍮と天然石の手作りアクセサリー・ピアス・ネックレス・リング・ブレスレット・手作り腕時計
Lano(ラノ)
真鍮と天然石のアクセサリー
marship(マーシップ) ―アクセサリー作家・沼尻慧(ぬまじり・さとい)さんが手がける、「秘密の森」に住む動物・植物たちをモチーフにした手作りアクセサリー・ネックレス・リング・指輪
marship(マーシップ)
動物・植物のアクセサリー
ブロンズ造形作家・コイズミタダシさんが手がける、コビトのブロンズオブジェ・ブックマーク・ネックレス・リング
造形作家・コイズミタダシ
コビトのオブジェ・アクセ
アクセサリー作家・磯 俊宏さんが手がける、雑貨やファッション小物をミニチュアにしたようなネックレス・リング・ピアス
small right
ミニチュア小物アクセ
おりがみトート−日本一の帆布の産地・倉敷の帆布職人さん、デニム職人さんたちのご協力を得て、生地から特注して制作していただいた、当店オリジナルのトートバッグ
おりがみトート
舟形トート / リベットトート
pure blue japan(ピュアブルージャパン)−国産ジーンズの本場である倉敷・児島にて、ジーンズをメインに展開するブランド。染色手法や素材、織りを工夫し、様々な「ブルー」を表現!
pure blue japan
ジーンズ / トップス
MIZRA(ミズラ)−拠点とする京都の伝統、文化を肌で感じながら、高度な生地加工や染色、グラフィックによる表現を駆使し、素材に独自の表情を加えたリアルクローズ
MIZRA(ミズラ)
ボトムス / トップス / etc.
京都発デニムブランド mizra(ミズラ)−「和的洋装」をコンセプトに、日本伝統の染色・伝統工芸の技術と、独自の生地加工技術を融合させたジーンズやトップスなどを手がける京都発ブランド
mizra(ミズラ)
ジーンズ / トップス
mellow out(メロウアウト)− グラフィックデザイナー・籾山佳範さんが手がけるオリジナルブランド。ポップでクールなデザインの中に、さりげなく心にひびくメッセージもちりばめたTシャツ
mellow out
デザインTシャツ
絵師・冬奇(ふゆき)−京都を拠点に活動する京友禅絵師にしてアーティスト。日本画や京都の伝統技術と独自の感性を融合させた作品も制作されています。
絵師・冬奇
絵画作品

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作り手インタビュー 〜創作の現場から〜 一覧

作り手インタビュー 〜創作の現場から〜
手染メ屋・青木正明さん

「こんな色を染めたい」
心を揺さぶる色との出会いに導かれて。


手染メ屋店主・青木正明さん

作家さんのお仕事場にお邪魔して、創作活動に入られた経緯やものづくりへの思いをお伺いする新コーナー。

記念すべき第1回は、日本古来の天然染料による手染めを追求されている手染メ屋・青木正明さんのもとをお伺いしました。


青木さんのお仕事場は、築200年の建物をリノベーションした洋館の2階。

青木さんが2002年より構える工房兼店舗は、落ち着いた街並みに老舗と新店の混在する京都でも注目のスポット、御所南にあります。

エントランスから小さな階段を上がると、ワンフロアに工房とショップが同居する、味わいのある空間が広がっていました。 作業スペースでは大きな鍋がもうもうと湯気をあげています。煮出されたばかりの天然染料から漂う香りは独特だけど、決して不快ではありません。

「なんだか落ち着く匂いですね」と思わず感想を口にすると、ニッコリ笑って「ありがとうございます」と応えてくださった青木さんは、明るく気さくなお人柄。

かの東京大学から大手インナーメーカーを経て染色の道へという異色の経歴を、リアルに語ってくださいました。


染めたばかりなのに古着のような風合い


─前職はインナーメーカーのMD(マーチャンダイザー)を務められていたとのことですが、天然染料による手染め、いわゆる草木染めとはどういうかたちで出会われたのですか。

ある商品企画がきっかけで、奈良で草木染めを手がける益久染織研究所の廣田益久(ひろたますひさ)さんのもとを訪ねました。

当時、僕は草木染めについて何の知識もない27、8の若造だったにもかかわらず、益久先生は誠実に対応してくださいました。そこで初めて見た草木染めが、まさに僕の好きな生地感、色の雰囲気だったんです。僕はもともと古着の独特の風合いが好きなのですが、あれは当然着古さないと出せないものだと思っていたのに。

おまけに話をするうちに「やってみる?」ということになって、その日のうちに、染め体験までさせていただけた。草木染めが自分の好きなタイプのもので、しかも自分の手でできたというのは二大びっくりだったんです。

益久さんのお人柄にも惹かれ、やがてことあるごとに遊びにいくようになりました。



茜、五倍子(ごばいし)、楊梅(やまもも)、檳榔子(びんろうじ)…それぞれの色素を含む部分を乾燥させたものが染料になります。思いもよらない色が現れるのには驚くばかり。


植物の根や樹皮、実などを乾燥させた染料を煮て、色素を抽出します。湯気が立ち込める工房は、厨房のようでもあります。


染料を煮だしたら、布で漉して染液をつくります。

─そこから染色の道にのめりこんでいかれたわけですか。

いや、そんなに積極的なものではなく、ほとほと会社の仕事が嫌になって、大好きな益久さんのもとでなら楽しく働けそうだなという逃げだったんですよ(笑)。

もちろん染色の技術にも興味がありましたが、それを生業にすることまでは考えていなかった。

幸い、入社後は、僕の持っていたノウハウで染織研究所のIT化を担当しつつ、染めを教えてもらうことがいいバランスでできるようになりました。

そんな中で、益久さんがあがめる先生として、前田雨城(まえだうじょう)さんの話がよく出てくるわけですよ。


─師匠があがめる師匠?それは凄そうです。

益久さん曰く、「前田雨城先生は日本で唯一、古代の染色ができる人や」。それから「世界には染色がふたつある。ひとつは前田雨城の染色、もうひとつはそれ以外」…なんだそりゃって感じじゃないですか(笑)。 凄そうなのはわかるけど、社長、それはちょっと言い過ぎじゃないですかと(笑)。

それでも「見たらわかる」と言われて。たまたま入社の3ヵ月後に久留米で開催された雨城先生の個展の手伝いに行くことができたんです。


初めて目にする「色」のインパクトが、人生を変えた

植物から煮出した染料で染色中の青木さん。染料の煮出しにはじまり、まる3日間の作業を経て完成します。

─それはラッキーでしたね。実際にご覧になって、どうだったんですか。

大げさな言い方になって申し訳ないけど、あの日を境に、僕の中の色を見るセンサーが変わってしまった気がしているんです。

よく、何も知らない子どもにこそ一流のものを与えなさいというでしょう。あれは凄い対象物って、対向する相手が持っているセンサーをつくるというか、気づいていなかったセンサーに気づかせる力があると思うんです。

僕は音楽好きだから音楽にたとえるけど、クラシックにしろロックにしろ、気づいていなかったことに気づくのは、たいてい凄い音を聞いたときなんです。たとえば何がどのくらい凄いかまだわからない人間には、京都市交響楽団とベルリンフィルの差は多分わからない。でも最初にベルリンフィルを聞いてガツンとくると、ただの音の塊が突然わかるようになっちゃうことがあるんです。

それは、もともとそれが聞こえている凄い人たちがそうしてつくった音だから。いろんなファクターのコントラストがしっかりついているのでわかりやすいということです。


古代染色研究家・前田雨城さんの著作『日本古代の色彩と染』(左)・『色−染と色彩』(右)。『延喜式』などの古代の染色・伝統色・文化に関する文献解読を通じ、古代染色のレシピなどが詳細に記述されています。青木さんが今も敬愛する古代染色研究家・前田雨城氏は2013年に鬼籍に。

前田雨城さんの著作には、印刷による色見本が付けられていません。色の感じ方は人それぞれで、光の状態によっても色は異なり、ましてや版によって色が異なる印刷では客観的に表現できないという考えから。
『日本古代の色彩と染』の初版本には、前田雨城さんが京都・丹後産の絹織物を実際に染色した「黄櫨」(こうろ/色見本上)・「青白橡」(あおしろのつるばみ・麹塵(きくじん) ともよばれる/色見本中)・「桃染」(ももぞめ/色見本下)の3つの色見本が付録として収録されています。

─前田雨城さんの作品は、まさにその「色」バージョンだった。

はい、ガツンときました。

たとえば深紫(こきむらさき)はさわろうとしてもさわれないような奥行きを感じて、遠近感がなくなってしまう。

くすんだ赤紫の深緋(こきあけ)は、静脈血みたいな色で鉄臭いにおいがしてきそう、韓紅(からくれない)は真っ赤で、ふれるとやけどしそう…と共感覚が生まれるような色。

また、麹塵(きくじん)は黄と紫の補色同士で染めたもので、本来はグレーなんですけど、10何回ずつ染めるのでいわゆる演色性が高くて、朝は深みのあるグレー、昼はきれいな緑、夜ろうそくの光で見ると赤みのベージュ、と光源によって色がガラガラ変わる。

もう、1反1反がそんなふうで、驚愕の連続です。ずっと見ているうちに涙まで出てきちゃって。それからは、僕も「世界には染色がふたつある。ひとつは前田雨城の染色、もうひとつはそれ以外」と言うようになりましたよ(笑)。


─ちなみにこれまでの青木さんの人生で他にそういう体験をされたことは?

高校1年のときに初めてレッド・ツェッペリンを聴いて以来かなあ。あのときは、「何これ、スゲー格好いい」って、最初の音からアルバムを聴き終わるまでずっと鳥肌がたったままでした。

以来、ロックの聴き方が変わったんだけど…この雨城さんの色の体験は、その衝撃を超えるものでした。



インタビューの本筋から少し逸れますが…
「飽き性の自分が飽きずに続けられていることは染色と音楽」と語る青木さん。会社員時代の同僚と組んだバンド「青いまほろば」は、2016年で結成から24年を迎え、現在もライブ活動をされています。青木さんはボーカルを担当。(2016年4月6日・京都のライブハウス「拾得」にて)

─まさに一生に一度あるかないかの体験が、その後の人生まで変えたのですね。

それまでは益久さんのお手伝いをして暮らしていくことに、不満も疑問もなかったんです。でも、雨城先生の染色を目の当たりにして、単純に「こんなに凄い色を染めてみたい」、はっきりと「自分で染め屋をしたい」という思いを持ちました。

もちろんまだ初歩的な勉強の最中でしたから、すぐに生活が変わったわけではないのですが。教わりながら染めに取り組んでいるうちに試してみたいこともできてくるし、そうなると気兼ねなく作業のできる自分の染め場が欲しくなってくるわけですよ。

そこで2002年、研究所のシステム構築が終了し引き継ぎもできたところで、益久さんにも了承をいただき、独立を決めました。


自分が好きだと思えるものしかつくらない。

スタート時の8色から、現在は14色展開に。

─場所が決まって、3カ月の準備期間を経ての開業。アイテムや色など、商品づくりにはどんな思いをこめられたんですか。

最終的には雨城先生のような色を染めたいという思いがあるわけですが、まずはそのために培った技術をどう商品に活かすか、ということですよね。

手にとって色を楽しむ、ファッションを楽しむアイテムとしてふさわしいと思ったのがTシャツです。シンプルで、色が一番見やすい分、自分の知識、技術、経験が一番如実に現れやすい、言ってみたら「すまし汁」みたいなものじゃないかなと。

展開する色は、開店準備の間に試作を重ねて、自分の好きな色、標準化したコスト内でつくれるもの、堅牢度が高いという条件のもとで選んだ8色からはじめました。

デザインも既成のボディでは自分好みのものがなかったので、縫製から手がけることに。開店後も素材の選択から生地の織り方、縫製まで、より納得のいく商品になるように試行錯誤を続けてきました。

3年目くらいから落ち着いたかな。正直、最初と今では、まったくクオリティが違っていて、今見ると申し訳ないです。


手染メ屋さんのTシャツの生地の素材である有機栽培の綿花。オーガニックコットンと天然染料は相性が良く、染まりが良いそうです。
手染メ屋さんのTシャツは、糸にできるだけ負荷をかけない「吊り編み機」で、ふんわりと編んだ生地を使用しています(詳しくはこちら)。

─青木さんが貫かれているデザインポリシーは?

僕はモードの勉強をきちんとしたわけではないので、あくまでも自分の好みで決めています。アメリカの古着のようなスタイル…くったりした質感や、もやっとした色合いが好きですね。ピカッとしたのは小っ恥ずかしくて着られないので(笑)。

なかでもミリタリー系など、ファンクション(機能)がデザインになったものが好きです。本来、デザインにはすべて何らかの機能があったはずで、このあたり、宮崎駿さんと意見の合うところなんですが…銃とか戦闘機とか、カッコよくないですか?

なぜ戦車のキャタピラーがああいう形になっているのか、とか、全部にファンクショナルな意味があって、まったく無駄がない。そういうものこそがカッコいいと思っているので、共感できないデザインには手を出しません。

愚直と言われても、自己矛盾のないプロダクトをつくって、自分に似た人をお客さんとして探す。これが、マーケティングに対して素人な人間でもものづくりで食って行ける手段だと思うから。

ありがたいことに、結果的に同じジャンルの機能美を求める人が反応してくれたので、なんとか今まで続けてこられたと思います。


手染メ屋さんのアイテムは、メインとなるTシャツのほか、ストールやボトムスにも広がっています。

─先ほどの「すまし汁」というお言葉どおり、機能に徹したシンプルなデザインゆえに色の豊かさがストレートに伝わるのも魅力ですよね。

当初は、草木染めの「無印良品」ブランドを目指したいと思ったんです。無印って、変にデザインされていなくて、そこそこのクオリティが保たれているでしょう。1周まわって「無印でいいか」で選ばれる。

だけど、1周まわってということは、360度すべてを知っていて、すべてのジャンルにおいて人が何をおかしいと思うか気づいてる、相当な手練れでないとできないものなんです。これは安易に目指せるレベルではないと断念しました。

でも、結果的にあるジャンルにおいてはそうなっているのもあると思うし、たまに「ここのデザインは、変なことしてないよね」と言われることがあると、凄く嬉しいです。


─今後の展開については、どのように考えていらっしゃいますか。

手染メ屋の商品の古着っぽい雰囲気は、良質の服を長く愛用して楽しむスローファッションというカテゴリーに合致するアイテムなんじゃないかと思っています。

アメリカ主導のムーブメントなので、そちらで認知をいただけるような展開を考えているところです。現地で展示即売会をして、FacebookやInstagramでの拡散を狙うなど、マスではない、嘘くさくない情報発信ができたらと。

今はまだ、草木染めの魅力って全然知られていないと思うんですよ。ファッションのカテゴリーとしての全体量がまだまだ足りていない。服に限らず、草木染めで布製品をつくる人たちにもっと出てきてほしいですね。


スタッフでも同じ色が染められるよう、作業は細かにデータ化してノートに記録。この「染メノート」は、2016年4月には50冊を超えたそうです。

─この世界への入り口となった雨城先生の色への挑戦も、続けていかれるのですね。

天然染料は、宮廷染色の技術体型から洗練され、平安時代には確立されていたといわれています。

ただ、その技術は武士の時代にすたれてしまいました。かろうじてレシピだけが『延喜式』という書物に残っていて、草木染めの仕事をしている人は、みんなこれをもとにしているんです。

でも手法は一切書いていないから、分量と材料から類推するしかなく、正解はわからない。結局、雨城先生の染めは、創作ではなく自分が考えられる中で、できうる限り『延喜式』に忠実に染めたというものなんです。

僕はその色にやさしく殺されてしまったわけだけど、同じようなアプローチでこんな色にしたいという到達点を目指すわけではない。自分なりに調べ抜いてすべての経験と技術を注ぎ込んでやってきた結果としてそうなる可能性が高いんですよね。

今はまだ文献を読み解く作業の途上ですが、すっごくおもしろいんですよ、これが。文献をあたりながら気づくことも多く、Tシャツを染めるのに応用できることもあるので、ライフワークとして続けていきたいと思っています。


─本日は青木さんのお話のなかで、あらためて草木染めの魅力を知ることができました。本当にありがとうございました。


飾らず気負わず、常に気持ちにしっくりとくる言葉を選んで話してくださった青木さん。手染メ屋の、曖昧に見えて計算され尽くした色、素朴に見えて機能を追求したデザインにも確かにご自身の思いがまっすぐに投影されているように感じました。

真摯に色と向き合い、愛情こめて生み出されたアイテムの数々は、手にする人にも自然と愛着を芽生えさせる一枚一枚になりそうです。


(取材日:2016年3月10日/文:ライター・森本朕世)

手染メ屋 店主 青木正明さん プロフィール


手染メ屋 店主 青木正明さん
1967年 三重県生まれ、東京育ち
1991年 東京大学医学部保険学科卒業
(株)ワコール入社、京都に移る
1995年 商品企画を通じ、廣田益久氏の主宰する『益久染織研究所』とお付き合いが始まる。
2000年 (株)ワコールを退社。『益久染織研究所』で天然染料による糸染めの研鑚を積む。
古代染色の大家、前田雨城氏の個展を手伝い、その作品に衝撃を受ける。
2002年 益久染織研究所を1年9ヶ月勤めた後、独立。
京都市にて『手染メ屋』開業。
2009年 京都造形芸術大学美術工芸学科の非常勤講師に着任。
2014年 京都造形芸術大学歴史遺産学科の非常勤講師を兼任。

手染メ屋さんのアイテム一覧

手染メ屋−オーガニックコットン×天然染料手染メTシャツ 半袖−
手染メ屋さんの半袖トップス
手染メ屋−オーガニックコットン×天然染料手染メTシャツ 長袖−
手染メ屋さんの長袖トップス
手染め帆布カーゴパンツ・手染めヘンプシータパンツ・手染メ-ZEROジーンズ
酒屋さん風前掛け
ボトムス・スカート・ジーンズ
オーガニックコットンガーゼストール・前掛けー
ストール・前掛け
手染メ屋 天然染料によるオーガニックコットンのオリジナル手染めTシャツ お取扱い注意&無料染め重ねサービスについて
天然染めアイテムのお取扱いと
無料染め重ねサービスについて
ふんわり・やわらか!手染メ屋のこだわり吊り編み天竺のTシャツ生地ができるまで
手染メ屋さんの吊り編み天竺Tシャツ生地が
できるまで


作り手インタビュー 手染メ屋 青木正明さん(このページのトップへ)
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