横向きの針(ヒゲ針)一本一本に糸が引っかかってます。これは前の周にへそ板で乗せられた糸です。今からまたへそ部に侵入して次の糸と交差してこの針の上の糸ひとつひとつがまた編目になります。その時糸はこれ以上引っ張られません。現代の編み機は上向きの針のかぎ状の部分に糸を引っ掛け、それが上下に動いて次の糸をまた引っ掛けて編地を作ります。すなわち糸が強く引っ張られた状態で編地が出来てしまう。編む工程で糸に力を加えるか加えないかが、後の生地の風合いに大きく関わってきます。この構造上の仕組みが吊編み機と今の機械では全く違うんです。
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吊編み機の全体像。編まれた生地は下にどんどんたまっていきます。これは生地の自重で落ちるだけ。画像はありませんが、現代の編み機は綺麗に巻き取ってしまいます。これは巻き取ったほうが後で扱いやすいからです。でも、巻き取るには生地を引っ張らなければいけません。そう、吊編み機は編み上がった生地にも全く力をかけません。下にたまった吊編み機の生地は畳んだり荷造りするのにちょっと大変です。でも、その苦労をする代わりに生地がリラックスした状態で仕上がります。すなわち、吊編み機は糸や生地に最後まで余計な負荷をかけずにゆっくりふっくら編んでくれる機械なんです。
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